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「 」
絹のように 真綿のように 柔らかで 角度によっては銅板の表面のように 角度によってはシャボンの表面のように 光移ろいながら 艶やかな髪は彼女を包んだ。 聞こえてくるのは ラフマニノフの旋律 と、言うかその音の中にいる 温度 響く空気 色 質量 絶妙のレサイプで絡まり合い 濃厚な空間が生まれる 消えてなくなる 感覚を覚える その瞬間 ゼロの概念を知る 彼女は同化する 宇宙の外側に 「無い」という概念さえ無い 「無」と。 これ以上無いほどの カタルシスを感じて
るるる
いち が なな に こんにちはと言う 箱 が 桃 と 踊る 洗濯機 が も を 包む まだ と もしも は仲良し 鷹 を ティッシュ が捕まえた 自由 自由 指からこぼれるよ
無理をしない。
意地をはらない。 かっこつけない。 自分のサイズを自覚する。 自分を生きる。
秋か
肌の横を 摩り替わる温度 紙芝居 次の一枚は 知っているけど知らない 手をあげた あの時とは角度が違う 残像が3D ファインダー 覗く 少し遠く感じる またこの目で見る 放した瞬間 また遠く 声が聞こえたのは一秒後 空が広すぎる 返した言葉は一秒後 少し震えてすぐ消えた 虫が電車と唄う 変拍子 クレッシェンド こんな風だったな こんな風だったけな
線
線はどこに 私とあなたの 出会う線は 分かつ線は あそことあそこを 隔てる線は 線を 越えること 越えないこと ピンと張った線を 切ってしまうか つまづくか 飛び越えるか 緩むのを待つか 何度も何度も 引きなおす つなぐ 目線をおとして 長く引いた線を見通す ピントをここから向こうへ ぼやけては鮮明に 移動する焦点がなぞるのは 小さな小さな粒子の集まり
事実と真実
何もない 何もない ここには何もないよ けど 何かある 何かある ここにはきっと何かある
世界が始まった日
蘭の花の蜜はとても苦かったんだ この坂を下ればマージュリムがあるよ とナナフシが言うから僕は走った けど、坂を下っても電信柱とアスファルトの道しかなかったんだ ぼくは、ここで産むしかないなと思った 熱くて、目の前がゆらゆらした 体がだんだんと草原の草の中に埋まっていった 鼻の先まで埋まってしまったとき 僕を包んでいた土はどこかへ消えて 空が光った 世界が始まった コンニチハー コンニチハー
回
何回繰り返すんだろう 何回繰り返すんだろう 何回繰り返すんだろう 何回 何回 僕たちは
葡萄
プチ プチ と 一粒一粒をはじきながら デラウエアを食べる。 どこかで、残飯を食べる人のことを思う。
休日の過ごし方
毛足の長い絨毯の 毛と毛の間をまさぐっていた。 最初に指にあたったのは、 消えかけの言葉 お み きい よ ねこ ちゃ んぱ ば ん 意味がわからない言葉たちは(それでもなぜか言葉だという確信はあった) 絨毯の毛にからまったり、もたれたりしながら そこに いた。 それでもなお、なでつづけていると 食べ物のような 体臭のような 鉄の焼ける匂いのような 古い本の匂いのような 香水のような 夏の草の匂いのような そんな匂いが、虹色の埃とともに舞い上がって 強く匂ったり、弱く匂ったりするのだった。 私は立ち上がって ぎゅっと、絨毯を踏みしめ 日曜のスーパーに アボカドを買いに行った
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